純平の引越し

『純平の引越し』という、純文学を思わせる素朴なタイトルから、冒頭のモノローグにより始まる事で、人物の感情に寄り添う作品である事が窺える。

この作品は、通常の長方形の画面サイズと違って、より正方形に近いスタンダードサイズで撮影され、またカメラのレンズも比較的狭い画角を捉える種類のものを採用している。

被写体の周囲をあえて切り取った画面構成にする事で、より人物の感情に観客が集中するための仕組みとなっている。

また、セリフをあえて少なくして、登場人物の純平によるモノローグを主とする事で、もう一人の人物である沙耶が、ミステリアスかつ幽玄性に満ちた存在となっている。

物語の主題の複雑さを、決して一つの意味に定義づける事のなく、観客が「曖昧なもの」を「曖昧なもの」としてそのまま受け止める事が出来る様に、上記の要素の一つ一つを高い水準で実現した作品といえよう。

[ 監督からのコメント ]

初めまして、監督を務めました安藤慶隆と申します。

この映画は私がミッドランドスクエアシネマでアルバイトスタッフをしていた時に映画好きのスタッフと制作した思い出深い作品です。

5分という短い映画ですが、何か心に残るものがあれば幸いです。

皆様が素敵な時間を映画館で過ごせることを心から祈っています！

[ 監督プロフィール ]

安藤慶隆

1999年生まれ。愛知県出身。

名古屋市内の高校を卒業後、明治大学文学部文学科演劇学専攻にて文学と芸術学を学ぶ。

大学二年時に映画美学校フィクションコースに入り自主映画制作を始める。

現在アジア最大規模の映画学校である北京電影学院に留学中。

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